消防設備士の乙種とは?乙4・乙6は需要が高く転職にも有利
消防設備士には乙種と甲種があり、受験資格のいらない乙種ははじめて消防設備士を取得したいときにも受験しやすくなっています。
乙種消防設備士には第1類から7類までがあり、取得する類によって、取り扱いできる消防設備が異なるため、はじめてならどの類をとるか迷う人も多いでしょう。
就職や転職のために乙種消防設備士取得を目指すなら、4類または6類がおすすめです。
ここでは、乙種消防設備士のなかでも人気の乙4、乙6が活かせる仕事、受験難易度や勉強方法について解説しています。ほかの乙種についても解説しているため、乙4や乙6取得後にほかの類に挑戦したいときにも、ぜひ参考にしてください。
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消防設備士で人気の甲種4類・1類は何ができる?
乙種消防設備士は第1類から第7類があり、類で規定された工事整備対象設備等の整備、点検が行える資格です。
また、甲種は工事整備対象設備等の整備と点検に加えて、特類免許があれば工事もできるようになります。また、甲種は受験資格がありますが、乙種は受験資格がなく誰でも受験可能です。
なお、特類(特殊消防用設備等)は甲種のみ、第6類(消火器)と7類(漏電火災報知器)は乙種にのみ設定された類で、ほかの第1類~5類までは甲種、乙種で共通しています。乙類のなかではとくに乙4類、6類が人気の資格です。
乙種6類は消防設備士で1番人気
乙種6類は消火器の整備と点検が可能になる消防設備士の資格です。
平成30年度、令和1年度ともに全乙種消防設備士試験受験者数約4万人に対して乙6類受験者は約2.5万人と、受験者の半数以上が乙6を受験しています。
全乙種消防設備士試験受験者数約消防設備士資格のなかでも一番受験者が多く、人気の資格です。
乙6が活かせる仕事
乙6類の消防設備士資格を取得すると、消火器の整備と点検ができるようになります。
消火器の設置は商業施設や学校などの多くの人が集まる施設だけでなく、集合住宅の共有部分や一般住宅にも設置が義務付けられています。
そのため、乙6を取得すると、以下のような仕事に活かせます。
- 消火器の製造や販売を行なうメーカーの社員
- 消防設備の設置やメンテナンスを行なう企業の社員
- 施設の管理やメンテナンススタッフ
- 消防設備士枠のある企業 など
乙種4類は火災報知設備、ガス漏れなど
乙4類の消防設備士資格は、以下の火災警報機や報知器の整備と点検ができるようになります。
- 自動火災報知設備
- ガス漏れ火災警報設備
- 消防機関へ通報する火災報知設備
- 共同住宅用自動火災報知設備
- 住戸用自動火災報知設備
- 特定小規模施設用自動火災報知設備
- 複合型居住施設用自動火災報知設備
いずれも、火災の煙や温度上昇のほか、ガス漏れも検知して住居または施設内に知らせたり、消防機関などに自動通報したりする装置を取り扱います。
火災やガス漏れを人々に知らせて迅速な被害をうながし、被害を最小限に食い止めるための大切な消防設備になります。
乙4が活かせる仕事
火災報知器やガス漏れ検知器は、施設のほか一般家庭や集合住宅への設置も義務化または推奨されています。
より活躍の場が広がる、乙4消防設備士を取得すると以下のような仕事に就けます。
- 火災報知器や検知器のメーカーの社員
- 防災用品を扱う企業の社員
- 工場や商業施設、ビルなどの保全スタッフ
- 消防設備士枠のある企業
ほかの乙類消防設備士では、以下の消防設備の整備と点検ができます。
- 1類
スプリンクラーや屋内消火栓など、屋内で水を噴霧して火を消す消防設備 - 2類
化学薬品火災などで使用する泡消火設備やパッケージ型消火設備 - 3類
不活化ガスやハロゲン科物の消火設備、泡消火設備、パッケージ型消火設備 - 5類
金属製避難はしごや救助袋など、おもに避難に関する設備 - 7類
漏電火災警報器
すでに就職したい企業や職種が決まっている、手当のつく消防設備士の種類が決まっている、というときには何の類の免許が必要かどうかを確認し、適切なものを受験するようにしましょう。
乙種消防設備士を取得するには、受験する都道府県ごとに公開されている受験日程を調べたうえで、受験申請をします。
受験申請には願書などの書類をそろえて直接窓口に提出する書面申請と、インターネットを通じて申込む電子申請があります。
なお、甲種、乙種ともに複数の類を同時に受験も可能です。たとえば、今回紹介した乙4類、6類の同時受験もできます。ただし、複数受験の場合は電子申請はできず、書面申請飲みになります。
乙種はいずれの類も以下の設問が出題されます。
- 筆記試験30問
消防関係法令10問、基礎的知識5問、構造・機能・整備15問 - 実技試験5問
筆記試験において、各科目毎に40%以上で全体の出題数の60%以上、かつ、実技試験において60%以上の成績を修めると合格になります。
消防設備士の乙種の受験料は3,800円です。
乙6の難易度
消防設備士資格は全体の合格率は38~40%前後と、難易度は高めになっています。乙6の合格率は38~40%と、乙種消防設備士のなかでは低めの一方、資格試験のなかでは高めと言えるでしょう。
乙6の合格率が低いのは、乙種消防設備士のなかでも人気の類のため、受験数の分母が高いのも理由のひとつです。
乙4の難易度
乙4の合格率は約30%と、乙6よりも高めになっています。こちらも、乙種消防設備士のなかで人気の類のため、受験者数が多いのも理由と言えます。
そのほかの乙種消防設備士の合格率は以下の通りです。
乙種 | 合格率 |
---|---|
1類 | 26~31% |
2類 | 35%前後 |
3類 | 27~35% |
5類 | 35~39% |
7類 | 58%前後 |
乙種消防設備士のなかでも、7類は58%前後と高い合格率となっています。ただし、7類は取り扱いできる消防設備が漏電火災報知器のみです。
漏電の恐れのある施設で働く、または漏電火災報知機を取り扱うメーカーなど消防設備士免許を活用できるシーンが限定的になっています。
そのため就職する企業が決まっている、7類取得が決まっているなどの場合以外はほかの類の受験を考えたほうがよいでしょう。
乙種消防設備士の勉強方法は、まず参考書やテキスト、過去問題集を購入して勉強し、どのくらいの手ごたえを感じたかで異なります。
勉強してみて、手ごたえを感じればそれだけ勉強時間は短くなりますし、全くできなければ基礎から勉強するため長い勉強時間が必要です。
基本的な勉強方法は、参考書、テキスト、過去問題集をそろえて参考書とテキストでまず基礎知識を得ます。
そのあと過去問題集を解いて、正解率70%を目指しましょう。
実際の乙種消防設備士は正解率60%で合格となりますが、70%を目指したほうが余裕を持って実際の試験にのぞめます。
乙種消防設備士の勉強時間は、平均で試験日から約1~2ヶ月です。平日は30分程度、休日は1~2時間の勉強時間を設けると考えて、毎日勉強する時間を設けましょう。
以下に、理解度や実際にテキストや過去問を解いて感じた手ごたえ別に、勉強時間をまとめました。
- まったくできなかった、または基礎から勉強したい
→ 試験日より約3ヶ月前から勉強 - まずまず解けたが不安なところが多い
→ 試験日より約2ヶ月前から勉強 - 過去に乙種試験を受けた経験がある、比較的問題はすらすら解ける
→ 試験日より約1ヶ月前から勉強
乙種消防設備士を取得したいと考えたら、求人の種類も多く人気の乙4か乙6の取得がおすすめです。人気の類だからこそ受験人数も多く難易度も高くなっていますが、きちんと自分のレベルに合せて勉強すれば取得は難しくありません。
また、乙種免許を取得し、実務経験を積むと甲種免許の取得も視野に入ります。
今後の年収アップやほかの職種へのチャレンジのキャリアアップのために、甲種免許取得もぜひ視野に入れてみましょう。