1トン以上の荷物を扱う大型のフォークリフトを運転するには、「フォークリフトの技能講習」を受ける必要があります。
技能講習は、学科と実技の2つがあり、試験に合格すれば「教育訓練修了証明書」が交付され、これをもって運転資格が得られます。
フォークリフト免許は18歳以上であれば誰でも受験資格があり、合格率は9割以上、資格取得にかかる日数は最大5日間と取得しやすい特徴があります。
資格取得までの流れは主にこのようになります。
- 申し込み
- 学科講習と試験
- 実技講習と試験
- 修了証を発行
フォークリフト免許の技能講習にかかる費用、技能講習の学科と実技の具体的な内容について紹介します。
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フォークリフトの講習は、自動車免許や大方特殊免許を持っていると講習が一部免除されます。
そのため免許取得までの日数は最短で2日、最長でも5日となります。
講習時間 | 保有資格・経験 |
---|---|
11時間 | 大型特殊免許(カタピラ限定を除く)所有者。 |
普通、準中型、中型、大型、大型特殊(限定あり)免許を有し、小型フォークリフト特別教育修了後、最大荷重が1t未満のフォークリフトの業務経験が3ヶ月以上ある方。 | |
(特別教育修了証のコピー貼付、事業主経験証明必要、特自検点検表添付) | |
15時間 | 小型フォークリフト特別教育修了後、最大荷重が1t未満のフォークリフトの業務経験が6ヶ月以上ある方。(特別教育修了証のコピー貼付、事業主経験証明必要、特自検点検表添付) |
31時間 | 普通、準中型、中型、大型、大型特殊(限定あり)免許所有者。 |
35時間 | 上記のいずれにも該当しない方 |
受ける講習が少なくなれば、その分費用も抑えられます。費用の相場としては約1万円~4万円ほどになります。
コース | 費用 |
---|---|
11時間 | 10,000円〜25,000円 |
15時間 | 20,000円〜23,000円 |
31時間 | 35,000円〜43,000円 |
35時間 | 40,000円〜47,000円 |
地域ごとに料金には差もありますが、概ね上記のような費用に収まります。
ハローワークの教育訓練給付制度を利用すれば、免許取得費用の20%が支給されます。支給額の上限は10万円まで、4千円を超えない金額に対しては支給されません。
フォークリフト免許が約4万円なら8000円安くなるため、利用を検討したい給付制度です。
教育訓練給付制度の対象者
教育訓練給付制度は、以下に該当すれば利用できます。
支給対象者 | 支給要件 |
---|---|
すべて | 前回の教育訓練給付金受給から今回受講開始日前までに3年以上経過していること |
在職中 | 受講開始日現在で雇用保険の被保険者期間が3年以上(初めて支給を受けようとする方は1年以上)あること |
離職中 | 受講開始日時点で離職日の翌日以降から受講開始日までが1年以内であること |
詳しくはハローワークでご確認ください。
提出書類として「教育訓練修了証明書」「領収書」などが必要になります。書類などは忘れずに保管しておきましょう。
支給に関しての詳しい申請手続きはこちらを参考にしてください。
申請に必要となる教育訓練給付金支給申請書は、最寄りのハローワークで配布されています。
その際に詳しい手続きや、自分が支給要件を満たしているかも確認してみるといいでしょう。
技能講習は学科と実技の2つ
フォークリフトの技能講習では、「学科」と「実技」の2つの内容になっています。
学科ではフォークリフトの基礎知識を頭で学び、実技ではフォークリフトを実際に運転して操作を学びます。
学科講習はすべて受けると11時間になります。
座学となる科目は主に4つです。
学科時間 | 科目 |
---|---|
4時間 | 走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 |
4時間 | 荷役に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 |
2時間 | 運転に必要な力学に関する知識 |
1時間 | 関係法令 |
テキストは200ページ近くありますが、すべてをやるわけではなく要点のみにしぼられています。
講習のあとすぐに試験がはじまります。学科試験の点数の内訳はこのようになっています。
点数 | 正当率 | 科目 |
---|---|---|
30点 | 4割 | 走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 |
30点 | 6割 | 荷役に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 |
20点 | 4割 | 運転に必要な力学に関する知識 |
20点 | 4割 | 関係法令 |
各科目で正当率以上を獲得しなければなりませんが、学科試験はほぼ全員が合格するようです。
難易度は低いようですが、もし学科で不合格になってしまうと、実技は受けられません。次回の学科講習にはじめから参加しなければならず、受講料もかかってしまいます。
講師の話は試験問題のヒントになることもありますし、役に立つのでしっかり聞いて覚えておきましょう。
学科試験に合格すると、ようやく実技講習を受けられます。
実技講習で使われるのは、普及率の高いカウンターバランスフォークリフトです。
この車のような見た目のカウンター式に乗って、教習所内にあるコースを実際に運転します。
実技講習で学ぶのは2つです。
時間 | 科目 |
---|---|
20時間 | 走行の操作 |
4時間 | 荷役の操作 |
走行では主に移動、荷役(にえき)は、リフトのフォーク(ツメ部分)の操作です。
実技の服装は?
実技を受ける際の服装は普段着で問題ありません。
汚れることもないので作業着の必要はありませんが、履物はスニーカーや安全靴あたりが無難です。
ヘルメットは支給されるので、それをかぶって実技に入ります。
実技初日
実技初日は安全確認と基本操作です。
安全確認は乗車を行う前後と乗車中にあります。教官が最も目を光らせている重要項目です。
確認事項が多いのではじめは焦りますが、慣れると落ち着いてできるようになります。
他の人が運転中に待ち時間ができるので、その際に手順をメモなどして整理して、体に染みこませましょう。
実技2日目
コースに出て前進や後進をするようになります。コーナーで旋回したりS字走行をしたり、運転技術を中心に練習します。
コーナーを曲がる際のハンドル操作など、車とは違うので違和感を覚えるかもしれません。
実技3日目
走行操作のほかに、荷役操作も学びます。荷物をフォークに載せたまま別の地点へ移動するなど、試験で行う内容も練習します。
フォークを平行に出したり、荷物を持ったままの旋回など操作にコツがいるので苦手部分を中心に練習ります。
すべての実技講習を終えると、実技試験になります。
実技試験は「A地点から途中に荷物を別地点に移動、B地点にバックで戻る」といった内容です。
教習所によってコース内容は変わりますが、荷物を持ったままのバックや左右の旋回が共通してあります。
実技試験の採点は100点からの減点方式で70点以上が合格となります。減点される点数はミスの種類によって変わります。
細かいミスでは2点や3点のマイナスで、最大で5点減点になるのがコースの白線からはみ出たり、パイロンなどの障害物への接触です。
制限時間を超えても3点の減点(以降30秒ごとに2点マイナス)なので、時間がかかってもミスをしないほうが受かりやすいですね。
焦らないで安全面に注意すれば、試験に合格できる可能性は高いと思います。
フォークリフトの実技講習は動画のような感じです。
実技試験に合格すれば、その日の内に修了証を発行できます。修了証は顔写真付きで、自動車の免許証のようなカード型です。
仮に実技試験に落ちても、当日の再試験に受かれば修了証は交付されます。もし再試験にも落ちてしまった場合は、技能講習は学科が免除され、実技から受け直しとなります。
もちろん受講料もかかるので、実技試験はとにかく落ち着いて運転するよう心掛けましょう。
1トン未満はフォークリフトは免許がいらない
小型フォークリフト(最大荷重1トン未満の荷物を扱う)の場合は、「フォークリフトの運転の業務に係る特別教育」の講習を受けると運転できます。
学科6時間と実技6時間の講習を受けるだけで、特別教育修了証が発行されます。技能講習のような試験はなく、18歳以上なら誰でも取得できます。
特別教育の講習は、コマツなどの大手メーカーをはじめ、社団法人や事業者などで受けられます。
本格的にフォークリフトの仕事をはじめるなら、最大積載荷重に制限のない「技能講習修了証」の取得をおすすめします。
求人数も多いので仕事も探しやすくなりますし、待遇もよくなるなど資格取得による恩恵があります。
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